一本の杭。

高卒でJリーガーになる。

高校卒業後、海外に挑戦する。

大学を経由してプロを目指す。

強豪校に進む。Jユースに入る。

それとも、競技サッカーから離れる。

何が正解で、何が不正解なのだろうか。

選手によって、目指す場所も、置かれた環境も、描いている未来も違う。

だからこそ、進む道に一つの正解を求めることは難しい。

大切なのは、どの道を選ぶかだけではなく、自分で考え、自分の意志でその道を選ぶことなのだと思う。

誰かに決められた道ではなく、自分で決めた道だからこそ、そこから得られる経験が、自分自身の成長につながっていく。

そして、その選択が現状に満足せず、さらに高みを目指す挑戦であるなら、その意志を尊重したい。

挑戦には、リスクが伴う。

過去の傾向や数字から、ある程度の可能性を考えることはできる。時には、選手を思うからこそ、別の道を勧めたくなることもあるだろう。

ただ、一度考えてみたい。

その助言は、本当にその選手のためなのか。

それとも、周囲が安心できる道を勧めているだけなのか。

自分の経験から見える可能性と、その選手が持っている可能性は、必ずしも同じではない。

データや経験は、判断するための材料にはなる。

しかし、一人の選手がこの先どうなるかは、誰にも分からない。

だからこそ、意見を伝えることはあっても、可能性まで決めつける必要はないと思う。

挑戦した先に、思い描いた結果が待っているとは限らない。

遠回りになることもあれば、うまくいかずに終わることだってある。

それでも、その経験が何年か後に意味を持つかもしれない。自分の失敗が、次の誰かの挑戦を後押しすることだってある。

挑戦の価値は、目の前の結果だけでは測れない。

「出る杭は打たれる」という言葉がある。

周囲と違う選択をすることや、人より先に一歩踏み出すことには、勇気がいる。

だからこそ、そんな一歩を踏み出そうとする選手を、応援できる人でありたい。

出る杭を打つのではなく、伸ばす。

もちろん、ただ背中を押せばいいわけではない。

必要な情報を伝え、一緒に考え、時には立ち止まることも勧める。

そのうえで、最後は本人が自分の意志で決断できるように支える。

決断した道がどこにつながるのかは、誰にも分からない。

だからこそ、その可能性を信じてみたい。

選手の未来を、周囲の物差しだけで測るのではなく、一人ひとりが描く未来を尊重し、その挑戦を支えられる人でありたい。

出る杭を伸ばす。

そして、

「一本の出る杭は、九十九本の杭を伸ばす」

一人の挑戦が、周囲の意識を変える。

その姿が、次の誰かの勇気になる。

そんな文化を、育成年代からつくっていきたい。

意志あるところに、道は拓く。

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