ファーストタッチは、思考の正体

ファーストタッチには、
その選手の思考が、そのまま表れるものだと言えます。
サッカーがうまい選手ほど、
ファーストタッチがとても静かだと思います。
音がしないわけではありません。
迷いがないために、余計な「音」が生まれないのです。
ファーストタッチを見れば、
その選手がどこまで試合を見られているかが分かります。
ボールを止めた瞬間、
試合まで止めてしまっていないか。
一度流れを切り、もう一度考え直してはいないでしょうか。
「さて、ここからどうしよう」
そんな「間」が生まれていないか。
その一拍は、
相手にとっての合図になります。
良いファーストタッチは、
相手に考える時間を与えません。
ボールが落ち着いたときには、
すでに次の局面に入っています。
守る側が一歩出る前に、
攻撃は一歩先へ進んでいます。
だからこそ、何も起きていないように見えて、
確実に前へ進んでいるのです。
そこに試合を動かす力があります。
一方で、ボールをきれいに止めたはずなのに、
どこか遅れを感じる瞬間があります。
触った。
止まった。
顔が上がった。
その時、
試合は一度、呼吸を整えています。
整えているのは攻撃側ではなく、相手です。
ファーストタッチは単なる技術の差ではありません。
どこまで先を考えられているか、
その違いです。
今を見る選手は、足元を見ます。
次を見る選手は、前を見ます。
さらに先を見る選手は、
試合全体を見ています。
だから、
止め方が違います。
置き所が違います。
リズムが違います。
静かなファーストタッチには派手さはありません。
しかしそこには、
「準備」「覚悟」「理解」が、確かに詰まっています。
ボールを止めた瞬間、
試合まで止めてしまっていないか。
その問いに対して、
自信を持って首を横に振れる選手こそが、
本当に「うまい選手」だと言えるのだと思います。
意志あるところに、道は拓く。
